「写仏」 仏を写し、仏を心に映し出す体験を。突然だが、あなたは「写仏」を体験したことがあるだろうか。写仏体験について日本一有名な京都の「勝林寺」でしばしの安らぎを味わったので報告する。心が、地に着いた
毘沙門堂(びしゃもんどう)勝林寺(しょうりんじ)
四天王の一尊に数えられる武神「毘沙門天」。勝林寺は、紅葉で有名な東福寺の塔頭(たっちゅう)でもある。塔頭とは、寺院を護持している僧侶や家族が住む個別の寺院という意味らしい。
先にお断りしておくが、僕は仏教関係には詳しくはない。ただ、スピリチュアルなものは感じるのだ。本物と言うのは、なにか感じるものがある。
「写仏」とは
「写仏」とは、仏教徒が人々の心の安心を祈る、その心を表現する大切な仏道修行のひとつ。本来は、本格的な仏画を描くための白描図(彩色をともなわない墨線だけの下絵)を写していくことをいうようだ。日本の仏道修行で独自に発展してきた写仏。日本人の精神性や美意識の高さから生まれたのがこの修行だといえるのだろう。
白描図の上に薄い和紙をのせ、仏さまのお姿を写しとって行く。黒の線を夢中で継いでいく作業はやさしく、何ともいえない清浄な空間のなかで心のやすらぎを感じる一時です。
タイトルに打った「日本一」の文字。
ここ「勝林寺」を知ったのは、SNSで積極的にプロモーションを行っていたからだ。Twitterフォロワー6,300人越え・・・フェイスブック・インスタグラム・公式HP完備。自らのお寺だけでなく、京都の魅力・文化を世界に向け発信している。すごく魅力的なのでご覧いただきたい。ちなみに勝林寺の和尚は、ブログも行っている。和尚、イケメンだ…総合的に、この情報発信能力は日本一と言っていいと思う。
公式ホームページでは、「座禅」「写経」「写仏」体験を募集しており、空き状況を確認することができる。電話か、ネット上でそのまま申し込むことができる。
これらの仏道体験は、毎日行っている。僕は、平日だったので当日朝の申込でも空きがあったが、週末は1週間先まで予約が埋まっていたりするので要確認だ。
僕は、これまで「座禅」「写経」体験は他の寺院で行ったことがあるが、「写仏」体験をさせてくれる寺院は、日本中探してもそうそうない。実社会のストレスから解き放たれたい。そんな思いで「写仏」体験を申し込んだ。(メールで申し込んだところ、自動返信メールは直後に、登録完了メールは一時間後くらいに返信があった。安心して予約ができるのも良いですね)
ちなみに、「ヨガ」「朝がゆ」「お灸」体験まで行っている。次、訪れた時もなにか体験したいと思わせてくれる。素晴らしい寺院だな~
場所は、紅葉で有名な「東福寺」近く
おそらく、秋ごろになればもみくちゃになるくらい参拝客が多いだろう。新緑が魅力の6月の平日、さほど人通りが多いわけではなかった。京阪本線やJR奈良線「東福寺」駅下車し、徒歩約8分だ。
東福寺北門を過ぎ、しばし歩くと細い路地が現れる。
厳かな入り口。毘沙門天(びしゃもんてん)というのが、仏教における仏神で、持国天、増長天、広目天と共に四天王の一尊に数えられる武神のこと。カッコイイ
立派な門柱。気が引き締まる
本堂を訪れたとき、ちょうど座禅体験を行っていた。訪問した日は、座禅体験は13時からだった。約20名の方々が、精神を研ぎ澄まし集中する儀を行っている。
石塔や石灯籠が見られた。立派なお寺だ。
新緑のもみじ。秋ごろの紅葉もそれは立派だろう。しかし、このきれいな「みどり」もまた何とも趣深い。
訪問した時は、6月下旬でちょうど蓮の花が咲き始めていたころ。毎日、寺院にある花の開花状況などツイートしてくれている。それはファンも増えますよ
「写仏」 仏を写し、仏を心に映し出す
僕が行った写仏体験はほぼ毎日1~2回行われていて、体験当日は14時からだった。主な費用等は以下の通り案内されている。今回は初心者向けを体験する。
ご志納料 お一人様 1500円(初心者向け写仏)又は2500円(中級者向け写仏)
所要時間 30分~2時間
※体験後にお抹茶とお菓子が付きます。
14時前に中へ通してもらったが、すでにご夫婦が写仏を始めておられた。その後、家族連れの方や、女性同士二人組みのペアもお見えになり、計8名で静かに写仏体験を行った。
*原本のためぼかしをかけています。
かわいらしい女性スタッフの方から、両手の掌にお香をかけ、心を落ち着かせてもらう。
写仏の説明は、本当に簡素なものだけ。型にとらわれず行っていいみたい。
計8体の仏様から、自分の好きな仏様1体を選び、写仏することになる。生まれた干支により選ぶのがオーソドックスなようだ。人にはそれぞれの干支に基づいて守り本尊が定められているんですって。
「不動明王」様だけは知っていたが、その他の仏さまは、すみません。初めてお目にかかりました。でも、どの仏様もかっこいい。
僕の生まれた年の干支から「虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)」様を写仏させていただくことにした。
虚空蔵菩薩は広大な無限の智慧と福徳を持ち、願いにこたえてくださる仏さまとして広く信仰されています。
「お時間もひとそれぞれでございます。では、どうぞ。」
仏を写し、仏を心に映し出す体験の始まりだ。
窓から見える景色がまた何とも言えない。いろいろとストレスのかかる実社会のことを忘れ、ひとときの間、無の境地になることができる。
静寂な時間が流れる。
「左下から始めるといいですよ。最後に仏様のお顔、そして最後に仏様の白毫(びゃくごう)=眉間にある円形の毛と目を書いてください。」とのことであった。
筆ペンで模写していく。僕の指が震え、線がはみ出している(笑)いかに心が落ち着いていないか、体現されてしまうね
徐々に慣れてくる。そして、心も落ち着いてきた。
僕のこれまでの人生30有余年。仏様が蓮華(れんげ)の座に乗っている意味なんて、考えたこともなかった。「何物にも染まらない清らかな徳を象徴する」蓮華。この「蓮華座」は座禅における基本中の基本だそう。
仏様の、ひとつひとつに深い意味がある。
仏様が、徐々に、僕の心に映し出されていく
右手に智慧を象徴する剣、左手には福徳を表す宝珠を乗せた蓮華を持っている。
ええ。剣がフニャフニャしています・・このことは仏の心で目をつむってください
頭に金剛界五仏を表した宝冠をいただいている。このアクセサリーひとつひとつにそれぞれ意味が与えられているのだ。
目に筆をいれるとき・・・心は研ぎ澄まされていることを実感できました。
ここまで、やはり90分くらい。あっという間の時間が流れていました。
完成したことを女性スタッフに伝えると、お抹茶と和菓子を持ってきてくださいます。
写仏された用紙は、お寺に奉納するか、お守り袋に入れて、またはそのまま持ち帰ることができる。
こんな方、写仏を体験してみてはどうでしょう?
- 実社会にストレスを感じている方
- 集中力を磨きたい方
- 心を洗いたい方
- 仏について学びたい方
- 身体、心身の姿勢を整えたい方
いやはや、「心」と「体」が地に着いたような心境ですね。すばらしい体験をすることができました。なかなか、言葉や文字では表しにくいものです。ぜひ、京都を訪れた際は体験されてみてください。
「写仏」 それは、仏を写し、仏を心に映し出す体験でした。
毘沙門堂 勝林寺
毘沙門堂 勝林寺 | 坐禅体験、写経・写仏などしております。
《住所》 〒605-0981 京都市東山区本町15-795
《TEL》(075)561-4311
《FAX》(075)708-2354
いかがでしたか?
最後までお付き合いいただきありがとうございました。クリップのゼム、京都へ。2018年(平成30年)大河ドラマ「西郷どん」、そして薩摩藩ゆかりの地を巡る旅シリーズはまだまだ続きます。よければ読者登録お願いします。
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