2018年大河ドラマ「西郷どん」の主役・西郷吉之助らが活躍した幕末の激動期。まさにその時、いちき串木野市の羽島浦では、若き薩摩藩士らが命懸けで海外へ密航しました。それは「薩摩スチューデント」と呼ばれた19名。その旅立ちの地に、砂田光紀さんプロデュースの「薩摩藩英国留学生記念館」が2014年に完成しました。そのデザインもさることながら、豊富な資料などで激動の幕末時代を体感!タイムスリップして知見を広げることができました。
薩摩藩英国留学生記念館(鹿児島県いちき串木野市)
薩摩藩英国留学生記念館は、2014年7月にオープンした施設。その場所は、東シナ海に面した薩摩半島の鹿児島県いちき串木野市羽島「羽島浦」。
まさにここから、1865年4月、19名(3名の使節、15名の留学生、通訳1名)の若き薩摩藩士が密航という形で祖国・薩摩を旅立ち、英国へと留学の道を進むのです。
薩摩藩英国留学生記念館の総合プロデュースは砂田光紀氏
薩摩藩英国留学生記念館をプロデュースしたのは砂田光紀氏。鹿児島市出身の地域再生総合プロデューサー。
鹿児島でも多くの公共施設等のプロデュースを担当されています。
- 「かごしま県民交流センター」のリニューアル
- 薩摩藩の史跡「尚古集成館・仙巌園」
- 鹿児島市交通局の貸切市電「カフェトラム」
- 在来線「肥薩線」の観光路線プロジェクト
- 鹿児島県坊津の「笠沙恵比寿」
- 鹿児島県知覧の「ミュージアム知覧」
- そしてこの薩摩藩英国留学生記念館
- etc
砂田さんは、福岡の有限会社オフィスフィールドノートの取締役で、鹿児島だけでなく全国の公共の施設や、店舗、街づくりの総括プロデュース、再生プランを手がけています。
総合プロデューサー・・・かっこいい・・・
薩摩藩英国留学生記念館へのアクセスは鹿児島市から車で75分。国道3号線を進もう
■九州新幹線 川内駅から車で約40分
■鹿児島本線 串木野駅から車で約15分
■串木野市街地からは県道43号線を北へ
鹿児島市内からだと国道3号線を進んで75分くらいで着きました。意外と公共交通機関を使ってでもいけるみたい。
薩摩藩英国留学生記念館の駐車場は満車でも大丈夫!第3駐車場まであるし、無料シャトルあってありがたい!
僕が行ったのはゴールデンウィークの真っ只中の5月5日だったので、薩摩藩英国留学生記念館の駐車場は満車でしたが、500mくらい離れた臨時駐車場に案内してくれました。ちなみにさらに500mくらい離れたところにもうひとつ駐車場がありましたので、停めることができないということはないと思います。
無料シャトルも一人でもばんばん運んでくれたのでありがたかったです。運転手や誘導のおじさんたち、優しい雰囲気で良かった~
薩摩藩英国留学生記念館に到着。まずは、砂田光紀のデザインを外から堪能しよう
僕はしばらく記念館の中には入ることは出来ませんでした。というのもやっぱり建物の外観が立派だったから!
記念館は薩摩式洋館造り。羽島の海が映えますね~
レンガは南九州で焼かれた火山灰煉瓦を一つ一つ積み上げたもの。しかも「白目地」の仕上げはイギリス式。こだわりすげえ
台風銀座と言われるくらい台風の多い鹿児島。瓦の上から白漆喰で頑丈に固定する方法をとっていたので、その方式で屋根も再現。白くて美しいですよね!
そして木製デッキが、まさに留学生が乗った船そのもの
いまにも出発しそうなデッキをモチーフとした造り。
19名の薩摩藩英国留学生の石額が
19名の薩摩藩英国留学生が石掘りの額があります。彼らは何を思いながらここから旅だったのでしょうか。
ちなみに写真左側に見えるのが側面に地元の羽島石が積み上げられる擁壁。
日本と英国を繋いだ薩摩藩英国留学生。実際にこの地から旅だった
イギリス貿易商のグラバーが準備した蒸気船オースタライエン号に乗船したのは、この地から。だからここに薩摩藩英国留学生記念館が建築されたわけですよね。感慨深い
羽島港
薩摩藩英国留学生記念館の前は羽島漁港です。
羽島は、若い頃の郡山書役助として勤めていた西郷が建設に関わったとされています。萬福池の方だけかな?池の方は、また今度紹介しますね。
石が丸い形をしている玉石を積み重ねているのが独特です。
薩摩藩英国留学生記念館の中に入りましょう!
外観だけで興奮してきましたが、そろそろ中に入ることとしましょう。
SATHUMA STUDENTS MUSEAM SINCE 2014
エントランスからしてかっこいい雰囲気。
観覧料は大人(高校生以上)300円、小人(小学生・中学生)200円です
中に入りましょう!
シンボル展示
まずは、薩英戦争絵巻などの展示があります。ふむふむ
ミニシアター
資料館の中はさほど広くはありませんが、スタッフの方がまずはシアターを見てもらうのがおすすめとのことで、15分×2本の薩摩藩英国留学生のストーリー動画を見ることにしました。
薩摩スチューデントが海を渡ることになる経緯やエピソードなど、とても分かりやすかったです。
鹿児島中央駅にある「若き薩摩の群像」
鹿児島中央駅には、この薩摩藩英国留学生17人の群像「若き薩摩の群像」があります。鹿児島中央駅に立ち寄った際は、ぜひご覧ください。
2階にあがりましょう
このシンボル展示とミニシアターを見たあとは、2階へ上がることになります。
またこの階段が渋い演出をしていて見逃せませんでしたよ。なんとなく雰囲気が「船の中」と思わせるようなデザインと思いませんか。
砂田シンボルのライト
砂田さんがデザインした薩摩藩英国留学生記念館のシンボルマークが描かれたライトデザイン。シンプルにかっこいい。
2階に上がると、まずはデッキへ
2階に上がりデッキへ出ると、そこはまさに船上。大海原へ航海に出掛けた気分です。爽快です!
機帆船と同じ仕様で製作した木製マストや、床もばっちりチーク材を使っているこだわりよう!夕陽を眺めながらワインや麦酒を楽しめるパーティーなども開催できるんですって。
留学の旅路サークルロビー
彼らの船旅ルートを示す地球儀。2018年大河ドラマ「西郷どん」でも渡辺謙演じる島津斉彬が所蔵していた地球儀をモチーフにしたもの。
2階の展示室には、薩摩スチューデントの写真が。
英国に到着するはるか前に海外のしきたりにより髷を落とさざるをえなかった薩摩スチューデント。緊張しているような面持ちでしょうか。
彼らは薩摩藩のエリートの中でも特に選抜された人々だったよう。それでも船の荒波にもまれ毎日嘔吐を繰り返しながら、途中の寄港地でも食事、文化の違いに大きな困惑があったみたいですが、徐々に考え方が変わっていったという。西洋文化を日本に導入するきっかけをつくっていった先駆者たちですよね。
大阪商工会議所初代会頭となる五代友厚や、カリフォルニアのブドウ王と呼ばれた長沢鼎 (ながさわかなえ)など、それぞれが帰国後や、生涯を過ごす地で活躍します。
彼らの渡欧にかけた熱を十分に肌で感じることのできる記念館です。とても満足することができました。
1階にはその他の施設も充実してます
ショップ
お土産もセンスあるものが多かった。さすが砂田光紀デザインだけあって惹かれるシンボル。
カフェ・レストラン
休憩ができるカフェ・レストラン。ここも英国っぽさがある、落ち着いた空間ですね。英国風ティータイムを過ごしましょう。
屋外デッキも開放感があって魅力ですね。薩摩の武家屋敷をイメージしているんですって。
ライブラリー
薩摩に関連する本がたくさん!ランチルームとしての利用もできるんですって。借りることは出来るんだったかな?ここまで資料を揃えるなんて立派。
激動の幕末。日本を変えることとなる薩摩藩の若き「人」に焦点をあてた薩摩藩英国留学生記念館
まずは、砂田光紀さんの設計に感銘を受けました。さらにはいちき串木野市などの関係者が熱心に資料をここまで収集されていること。感嘆しました。薩摩藩の「人」に焦点をあてた施設となっており、大変おススメの観光スポットです!
薩摩藩英国留学生記念館
≪開館時間≫
展示観覧 10:00~17:00
カフェ・ライブラリー等(※季節による)
≪休館日≫
火曜日(火曜日が祝日の場合は翌日)12月29日~12月31日
≪観覧料≫
・大人(高校生以上)300円
・小人(小学生・中学生)200円
※未就学児は無料
※団体割引(20名以上)
※年間パスポート有り
≪問い合わせ先≫0996−35−1865
≪所在地≫鹿児島県いちき串木野市羽島4930番地