カゴシマ・クリップ

鹿児島。西郷どん(せごどん)。カフェ・ランチ。なんでも書くブログ。

〔西郷どん〕清水寺には西郷隆盛と月照の詩碑がある。近くに密談の場所・清閑寺も



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2018年(平成30年)大河ドラマ「西郷どん」で尾上菊之助さん演じる月照。西郷どんと共に薩摩の海に身を投じたこの人物は、世界遺産・清水寺の住職だった。西郷隆盛と月照、そして清水寺の関係とはどのようなものだったのか。

清水寺と月照

大坂の医者の家計に生まれた月照が京都・清水寺に入るのは15歳のとき。そして22歳で、清水寺成就院の住職となる。この「成就院」というのは、清水寺塔頭であり、平安時代に創建されたもの。

 

成就院はどこにあるのか?

誰しもが訪れたことがあるであろう清水寺本堂前。清水寺は絶賛改修である。

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本堂に行く手前で、左側に「開山堂」という赤い建物がある。ここでを向いてほしい。

 

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そうすると、石畳の通路が現れる。まっすぐ進んでほしい。

北総門

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寛永8年(1631年)以降に再建された薬医門。鉄製の飾り金具や鉄帯を取り付けた大きな扉を吊り込んだ重厚な造り。ここがかつて、成就院の正門だったのだ。このまま進むと成就院が見えてくるはずなのだが、見事な庭園や襖絵の数々は、毎年、期間を限って特別公開されている。ちなみに2017年の公開スケジュールは下記の通り。名勝「月の庭」をぜひとも見てみたいものだ。

◆2017年スケジュール

4月29日~5月7日
9:00~16:00(受付終了)
11月18日~12月3日
9:00~16:00(受付終了)、夜間公開18:00~20:30(受付終了)

 幕末に散った月照・信海両上人と西郷隆盛公の歌詩碑

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この北総門をすぎると、すぐに3つの石碑が並んでいる。これが2018年大河ドラマ「西郷どん」主人公・西郷隆盛と共に入水自殺を図る悲劇の住職・月照上人と、実弟であり同住職の信海上人の歌碑、そして西郷隆盛公の弔詞碑である。

 

兄の月照は、江戸時代の弾圧「安政の大獄」で命を落とした勤王僧。
西郷隆盛の手引きで九州へ避難したものの、隆盛公と薩摩(鹿児島県)の錦江湾に入水。西郷隆盛は助けられたが、月照は非業の死を遂げる。月照の墓前は、鹿児島市にある。翌年には、弟の信海上人も尊皇攘夷祈祷の嫌疑で逮捕されて江戸に護送され、まもなく獄死する。西郷どんはのちに弔意の漢詩を詠み、その読み下し文が、石碑に刻まれている。

3つの石碑に刻まれた悲劇の歌

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【月照歌】
大君のためにはなにかお(惜)しからん薩摩の迫門(瀬戸)に身は沈むとも


【信海歌】
西の海あずま(東)のそら(空)とか(変)はれどもこころ(心)はおなじ君が代のため

 

西郷隆盛公弔歌

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【西郷隆盛公弔歌 (読み下し文)】
相約して淵に投ず、後先無し。豈図(あにはか)らんや波上再生の縁。頭(こうべ)を回らせば十有余年の夢。空しく幽明(ゆうめい)を隔てて墓前に哭(こく)す。

 

清水寺(きよみずでら)

《住所》京都府東山区清水1丁目294
《電話番号》075-551-1234

《交通案内》 京阪電車祇園四条駅・阪急電車河原町駅下車、市バス清水道/五条坂から徒歩約10分
《拝観・開館時間》 6:00~18:00 ,18:30(8月~9月)

 

月照と西郷の密談の場・清閑寺

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尊王攘夷思想に傾倒した西郷隆盛と月照は、幕府の追手から逃れるために何度も密談をしていた清閑寺で、京都から脱出する計画をする。その清閑寺は、清水寺から徒歩圏内なので、清水寺を訪れた際はついでに寄ってみてはいかがだろうか。

 

場所は、清水寺本堂を見終わって、音羽の滝を前にして、そのままずーっとまっすぐ進むだけ。そうすると、このような看板が出てくるので、さらに進んでいく。

 

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道中いわゆる砂利道で舗装もされていない。人とすれ違うことも稀だろう。

 

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10分ほどで、清閑寺駐車場に到着するはずだ。

 

六條天皇清閑寺陵・高倉天皇後清閑寺陵

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清閑寺に至る石段の途中に六條天皇と高倉天皇の陵墓がある。両天皇はあの後白河天皇の直系親族だ。

 

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清閑寺境内の要石から眺めると、視界が扇形に広がる。紅葉の名所みたい。高台にあり、市街地の展望も良好だ。

 

清閑寺本堂

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その密談は、茶室の郭公亭で行われたと言われているが、現在の清閑寺にはその跡が残っているだけである。清閑寺での密談を経て、京都を脱出し薩摩に戻った西郷隆盛と月照だが、敬愛する島津斉彬公が亡くなっていたことで、彼らの味方はいなくなっていた。

 

薩摩藩は月照の受け入れを拒否する。そして、安政5年(1858年)11月15日、行き場を失った2人は舟で錦江湾にこぎ出し、投身自殺を図ることとなる。

 

この時、月照は亡くなってしまうが、西郷は蘇生し、その後、奄美大島に流罪となる。

 

2018年大河ドラマ「西郷どん」でも、月照の死、そして西郷の潜居は、ひとつのクライマックスとなるだろう。

 

清閑寺(せいかんじ)

《住所》京都府東山区清閑寺歌の中山町3番地

《電話番号》075-561-7292

《交通案内》 京阪バス清閑寺 山ノ内町下車 徒歩約10分

《拝観・開館時間》 8:00~16:00